伊勢の外宮、豊受大御神(とようけおおみかみ)・
保食神(うけもちのかみ)・稲荷神(いなりのかみ、いなりしん)の舞である。
素戔嗚尊(すさのおのみこと)が天照大神(あまてらすおおみかみ)の命を受けて
五穀の種をもらいに保食神のところにやってきました。
保食神は、天照大神の弟神である素戔嗚尊が訪ねて来たので大変に喜ばれ、
大歓待申し上げようと八尋殿という広い御殿の台所でせっせと
山海の珍しい料理を作っておりました。
素戔嗚尊はどんなご馳走が出てくるのかとそっと台所を覗いてみると、
保食神は一生懸命になって自分の口や尻から珍しい食物を
取り出して調理しておりましたが、
素戔嗚尊は「我に馳走するのに、口や尻から食物を取り出すとは穢いにもほどがある」と
怒り狂い保食神を斬って帰り、その様子を天照大神に報告しました。
天照大神は大変に嘆かれ、「保食神は総身が食べ物の化身なのに
お前はそれが見抜けぬのか?」と言い素戔嗚尊と暫く口をきかなくなりました。
そこで天照大神は保食神のところに別な使者を送ってみると、
斬られた保食神の全身から五穀がでておりました。
口から栗、目から麦、尻からは大豆という風に生えておりました。
その五穀を種として大八州国、即ち日本の全土に植え増やし、
今日に至るまで人々の生命をつなぐ五穀が出来たのであります。
この神楽は、国民が五穀の種を蒔いて一生懸命に育て、
食料を確保しようと努力していると、魔王が現れ、
五穀が稔る霊力を持っている「宇賀玉」という宝物を農民から取り上げてしまいました。五穀は実らず、不作つづきで国民が困っているところに、
保食神が農民に化けて現れ、酒を飲ませたりの術策を以って、
魔王から「宇賀玉」を取り戻し、荒魂(あらみたま・武力)を
持つ神の力を求めて魔王を追い払うという、実にユーモラスな楽しい神楽です。
雄勝法印神楽 演目
01 初矢(しょや)
02 両天(りょうてん)
03 三天(さんてん)
04 四天(してん)
05 宇賀玉(うがたま)
06 岩戸開(いわどびらき)
07 叢雲(むらくも)
08 魔王退治(まおうたいじ)
09 五矢(ごや)
10 鬼門(きもん)
11 道祖(どうそ)
12 所望分(しょもうわけ)
13 蛭児(ひるこ)
14 笹結(ささむすび)
15 橋引(はしひき)
16 醜女退治(きじょたいじ)
17 空所(くうしょ)
18 順唄 (じゅんばい)
19 日本武尊(やまとたけるのみこと)
20 白露(はくろ)
21 釣弓(ちきゅう)
22 産屋(うぶや)
23 荒神舞(こうじんまい)
24 二之矢(にのや)
25 普照(ふしょう)
26 湯之父(ゆのちち)
27 国譲(こくじょう)
28 獅子(しし)