雄勝法印神楽


当地に伝承されている「法印神楽」とは
約600年の歴史を持ち平成8年に国の重要無形文化財に指定されました。

法印神楽とは、元来修験者の行なうもので桃生郡内の
「羽黒派十法印」と呼ばれる家に一子相伝の口伝にのみ
伝えられて来たと記されている当神社所蔵の「羽黒派未派修験帳」によると
旧桃生郡内の十法印の地区に互いに山河を越え往来し、
その結びつきは明治中期まで固かったいう。

このように往古の神楽舞は、十法印がお互いに協力しあって舞ってきたが、
神楽を奉納する神社は、余ほど富める氏子を有しているか、
或いは社殿の新築時などの特殊事情を背景にしており、
現在のように神社の例祭日に毎年奉納するというほど地区の経済は裕福ではなかった。

したがって神楽を奉納するとなると態夫(わざふ)といって人夫を使って峠を越え、
川を渡り苦労を重ね、桃生十法印を集めたのである。
このような経緯から旧桃生郡内に伝承されている神楽舞には基本的な部分で
共通性が認められる。

明治以降、修験者の一子相伝の口伝により伝えられてきた法印神楽の舞は
明治政府の「神仏分離令」によって神職に受け継がれ、
大正初年からは民間の有志が加わって伝承保存されてきたのである。





演目・次第


神楽の演目は、かつて三十三番であったと伝えられているが、
現在、本町に伝承されている演目は次の二十八番である。

01 初矢(しょや)
02 両天(りょうてん)
03 三天(さんてん)
04 四天(してん)
05 宇賀玉(うがたま)
06 岩戸開(いわどびらき)
07 叢雲(むらくも)
08 魔王退治(まおうたいじ)
09 五矢(ごや)
10 鬼門(きもん)
11 道祖(どうそ)
12 所望分(しょもうわけ)
13 蛭児(ひるこ)
14 笹結(ささむすび)
15 橋引(はしひき)
16 醜女退治(きじょたいじ)
17 空所(くうしょ)
18 順唄 (じゅんばい) 
19 日本武尊(やまとたけるのみこと)
20 白露(はくろ)
21 釣弓(ちきゅう)
22 産屋(うぶや) 
23 荒神舞(こうじんまい)
24 二之矢(にのや)
25 普照(ふしょう)
26 湯之父(ゆのちち)
27 国譲(こくじょう)
28 獅子(しし)

これらの二十八番の演目のうち現在演舞できないものは
上記赤文字の演目である なお二十八番獅子は明治以降
春祈祷(獅子舞)の正月祭典として分離しているが
その時期は定かではない。


雄勝法印神楽年表

延徳 2年 千葉家四十一代目延命院玉岸秀峰石峰山修験開山 
      里宮薬師堂を一明院へ改称

元文 4年 「御神楽之大㕝」林鐘十二世之秀盛(千葉家五十代目) 壽教写之

大正 元年 「十五浜神楽団」結成

昭和26年 「雄勝法印神楽」に名称変更

昭和27年 雄勝町「無形文化財指定」

昭和57年 宮城県「無形民俗文化財」に指定
      第24回北街道・東北ブロック民俗芸能大会出演  福島県
      文化庁長官より感謝状

昭和59年 宮城県知事表彰

昭和61~63年 演目23番記録作成のためビデオ撮影   流失

平成 8年 「全国神楽大会ハヤチネ96」に出演  岩手県
      国の「重要無形民俗文化財」に指定

平成 9年 「全国民俗文化の祭典in郡上八幡」に出演  岐阜県

平成10年 文部大臣より表彰

平成11年 演目12番DVDに保存      流失
      第13回民俗芸能のつどい

平成12年 雄勝町の文化財「雄勝法印神楽」の冊子作成

平成13年 早池峰神楽公演2001出演 岩手県

平成14年 全国青年大会郷土芸能の部出演 東京都

平成16年 富山県日枝神社春季例大祭特別協賛奉納行事として出演

平成21年 神楽と北上川出演 岩手県
      はやちね全国神楽祭出演 岩手県

平成22年 国立劇場単独公演 東京都

平成23年 東日本大震災大津波により道具の流失等の壊滅的被害を受ける
      鎌倉芸術祭公演 神奈川県
      民俗芸能 inとしま出演 東京都
      第53回北街道・東北ブロック民俗芸能大会出演 秋田県
      れきみん秋祭り出演 仙台市歴史民俗資料館

平成24年 アジア太平洋議員フォーラム  東京都
      NHK地域芸能まつり出演   東京NHKホール
      アイヌの民族芸能in仙台出演  仙台市

平成25年 国立劇場単独公演  東京都 皇太子殿下ご夫妻観覧
      地域伝統芸能大賞 保存継承賞 10月受賞式 石川県金沢市

その他  雄勝町内外の神社祭典への奉納は毎年4~8か所の地域
     昭和52年より石巻桃生牡鹿地方神楽大会へ毎年出演
     後継者育成のため町内2小・中学校への指導